残された相続人が争わないように遺言書を作りたい
- 残された相続人で争いにならないようにしたい
- 家族以外にもお世話になった人に遺産を分けたい、遺産を寄付したい
- 相続人の一人が家業を継ぐので、うまく調整したい
- 相続人の一人が勝手に遺産の分け方を決めてしまっている

「遺言書を残す」こととは
ご自身が亡くなった後の財産の分け方を自分で決めたいという方や、相続人同士で揉めてしまわないか不安の方も多いでしょう。
そのようなトラブルを避けるためには、遺言書を作成することをおすすめします。
遺言(書)とは、ご自身の遺産(相続財産)の分配方法などについて、自分の最終の意思をあらかじめ書き留めておき、ご自身が亡くなった後に遺言書のとおりに効力を発生させるためのものをいいます。
遺言書を作成するメリット
① 自分の好きなように財産を分けられる
遺言書を作成しておけば、自分が亡くなった後の財産をどのように残すか、自由に決めることができます。
例えば、「自宅は長男に家を残し、次男には不動産ではなく金銭を渡したい」などの希望がある場合には、その内容を遺言書に残すことで、自分の希望する遺産分割を実現することができます。
極端な話、「全ての財産を長男に相続させ、次男には相続させない」という遺言書を作ることも可能です。ただし、長男以外の他の相続人には、遺留分という、相続の際に最低限保障される権利があることから、次男から長男に対して、自己の最低限の権利である遺留分を請求してくる可能性があります。遺言書を作成することで、このようなトラブルを引き起こすきっかけになる可能性もありますから、財産の分配方法を考えるときは、自分の希望に法律上問題はないか、弁護士に相談しながら作成することをおすすめします。
② 相続人間での争いを避けられる
遺言書がない場合、相続財産の分配方法(遺産分割)は、亡くなられた方の相続人同士が話し合って決めることになります。これを遺産分割協議といいます。
この遺産分割協議で一番大変なのは、財産の分配方法について、相続人全員の同意が必要なことです。相続人が2、3人であればそう難しくないかもしれませんが、場合によっては10名近く相続人がいるような場合もあります。
そして、1人でも同意しない者がいると、財産を分けることが難しくなってしまうことから、残された大切なご家族が遺産をめぐって争うこととなってしまいます。
遺言書を作成すれば、このような遺産分割協議が不要となるので、相続人間での争いを避けることが期待できます。
遺言書を作成するなら公正証書遺言
① 自筆証書遺言のメリット・デメリット
遺言書には、
- ① 自筆証書遺言
- ② 公正証書遺言
- ③ 秘密証書遺言
の3種類がありますが、③は実際ほとんど利用されないため、①か②で作成することが多いです。
①自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言書の全文を書き、日付と署名を書き、押印をして作成する遺言書をいいます。用紙や書き方の決まりはありませんが、必ず自筆で作成しなければいけないため、代筆は認められません。また、訂正の方法などに方式が定められており、遺言が無効となるおそれは公正証書よりも高いです。
また、ワープロやパソコンで作成しても原則として無効となります(なお、民法の改正によって、財産目録の部分は自筆でなくてもよくなりました)。
一方、②公正証書遺言とは、遺言者が公証人に対し遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人がその内容を正確に文章にまとめ、公正証書として作成する遺言書をいいます。
公証人は、これまで法律実務に携わってきた法律の専門家(裁判官、検察官経験者等)ですので、法律的に整理された内容の遺言を作成します。方式不備で遺言が無効になるおそれもありません。そのため、公正証書遺言は、自筆証書遺言よりも安全な遺言方法といえます。
自筆証書遺言は、
- 費用が掛からないこと
- 書こうと思えばいつでも書けること
- 自筆で作成するので遺言書の内容を誰にも知られずに残すことができる
といったメリットがあります。
他方で、自筆証書遺言は
- 方式不備で無効になる可能性が高いこと
- 法律的に見て不備な内容となっていることが多く、紛争の原因になってしまうおそれがあること
- 遺言を発見した者によって破棄、隠匿、改ざんされてしまうおそれがあること
など、デメリットもたくさんあります。
② 公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言では公証人が作成してくれるため、方式不備で無効になることはありませんし、法律的に見て不備な内容の遺言書が作成される心配はなく、紛争の原因になるおそれはありません。また、遺言書の原本は公証役場で保管してくれるので、破棄、隠匿、改ざんされるおそれもありません。
このように自筆証書遺言のデメリットが補われた遺言方式となっており、安全な遺言方法ですので、遺言書を作成するのであれば公正証書遺言をおすすめします。
なお、公正証書遺言のデメリットとしては、
- 公証役場に作成のための手数料を支払わなければならないこと
- 公証人と2人の証人に遺言内容が知られてしまうこと
- 原則公証役場に出向いて作成に行かなければならないこと(自宅や病院に出張してもらうこともできます)
などが挙げられますが、ちゃんとした遺言を作成するためであれば、そこまで大きなデメリットにはならないと思います。
公正証書遺言の作成を弁護士に依頼するメリット
① 作りたい遺言の内容について法的なアドバイスをもらえる
弁護士に相談すれば、自分が作りたい遺言の内容が法的に問題ないかという観点からアドバイスすることが可能です。
例えば、先ほど述べたように財産の分配方法に偏りがあると、のちに相続人同士で遺留分の請求が行われるなどの紛争に発展する可能性があります。弁護士はそういった観点から遺言の内容をアドバイスしますが、ご自身で公正証書遺言を作成するとき、公証人はのちの紛争まで見越したアドバイスはしてくれません。
また、遺言書の作成にあたって公証役場に対し財産関係や戸籍などの様々な資料を準備し、遺言の概要を書類などで作成する必要がありますが、弁護士に依頼すればこのあたりの準備をご本人に代わって行うので、煩雑な作業が必要なくなります。
② 遺言書を弁護士が保管することも可能
公証役場は公正証書遺言を全部で3通(原本、正本、謄本)作成します。このうち、原本は公証役場で保管し、残りの正本、謄本の2通がご本人に手渡されます。
この正本、謄本は亡くなった後の銀行の相続手続、不動産の登記手続などで必要になるため、重要な書類ですが、ご自身で保管していると紛失してしまう可能性があります。また、相続人に勝手に遺言書の内容を見られてしまい、自分に有利な内容に書き換えてほしいとか、遺言書を隠匿されるリスクもあります。
その点、弁護士に遺言作成を依頼すれば、もし依頼者様がご希望されれば、ご本人が亡くなられるまで弁護士が遺言書を保管することも可能です。特に、弁護士が後述の遺言執行者に指定されている場合は、亡くなられた後の手続をスムーズに進められるため、その方が都合がよいといえます。
③ 亡くなった後の相続手続のサポートも受けられる
遺言書の作成を弁護士に依頼した場合、それと合わせて、その弁護士を遺言執行者に選任することも依頼できます。
遺言執行者とは、簡単に言えば、遺言の内容を実現するために必要な手続をする者をいいます。
預金の解約手続や不動産の登記名義の変更には、通常相続人全員の署名押印が求められますが、遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が単独でこれらの手続きを行うことができ、スムーズに解約や名義変更を行うことができます。
他方で、遺言執行者以外の相続人が勝手に行った行為は無効になるので、相続開始後、相続人のうちの誰かが勝手に相続財産を処分したり、手続を妨害したりするのを防ぐことができます。
弁護士が遺言書の作成にかかわっていれば、遺言者様のご事情はすでに把握していますので、スムーズに遺言執行を行うことが可能です。弁護士に遺言執行者も依頼すれば、亡くなった後も安心して相続手続のサポートを受けることができます。
遺言書を作成するのであれば公正証書遺言で作成することが安心です。
当事務所では遺言の作成を検討されている方のご事情に応じて適切なアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
- 遺言書の内容はあとで変更できますか。
- 変更可能です。最後に作成した(最新の)遺言書が、有効な遺言書になります。
- 認知症でも遺言書は作れますか。
- 認知症がどの程度進行しているかによります。あまり複雑な内容でなければ十分可能だと思いますが、詳しくは弁護士にご相談ください。
- 内縁の妻(夫)に相続の権利はありますか。
- 内縁の妻(夫)は法律上相続人ではないため、遺言書がないまま亡くなると、原則として財産を受けとれません。内縁関係の方に財産を残したい場合は、遺言書の作成をおすすめします。
残された相続人が争わないように遺言書を作りたい(遺言書作成)
- 残された相続人で争いにならないようにしたい
- 家族以外にもお世話になった人に遺産を分けたい、寄付したい
- 相続人の一人が家業を継ぐので、うまく調整したい
- 相続人の一人が勝手に遺産の分け方を決めてしまっている
遺産の分け方でもめている(遺産分割)
- 相続人同士で遺産の分け方が対立してまとまらない
- 長男が遺産の分け方を勝手に決めてしまっている
- 相続財産が不動産ばかりで、うまく分けることができない
自分の相続分に納得できない(遺留分減殺請求)
- 兄弟の一人にだけすべてを相続させる遺言があるが、自分はなにも請求できないのか
- 遺留分について知りたい
遺言書と違う内容で遺産分割をしたい
- 遺言書と違う内容で遺産分割をしたい
- 遺言書と違う内容で遺産分割ができるのか
- 遺産分割をした後に、その内容と異なる遺言書が見つかってしまった
- 相続人がたくさんいるので、後でもめないように遺言書を作っておきたい
- 相続人同士で遺産をどのように分けるか話がまとまらない
- 兄弟の一人だけがすべての遺産を相続する遺言があるが、自分は何も請求できないのか
相続は誰もが直面する法律問題ですが、いわゆる「争続」といわれるように親族間でのトラブルが非常に生じやすいです。当事務所では、残された相続人が争いとならないような遺言書作成や、相続人間での遺産分割トラブル・遺留分減殺請求など、あらゆる相続に関する問題を取り扱っております。


弁護士 小林
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